そもそも「男らしさ」って何だ?
男らしさの定義は、国や時代によっても異なります。特に現代の日本では、ぐいぐい引っ張ってくれるリーダーシップが男らしさとは限らないようです。
海外の男らしさ
たとえばイギリスでは、古くは「騎士道」という概念がありました。主君に忠誠を誓い、勇気をもって戦うほか、弱い者を守ったり、女性に奉仕したりする点が特徴です。単に戦うだけではなく「貴婦人を崇拝する」という側面が騎士道にはあります。
その流れで、イギリスではその後「ジェントルマン」の文化がわりと自然に根付いたと思われます。レディーファーストの習慣も、無理なく英国男性には溶け込んだのではないでしょうか?
こういった「男たるもの、女を尊重すべき」という概念は、フランスにもありました。女性が通る時にはドアを開けてあげるなどの行動が当たり前だったといわれています。しかし、そんなことをする男性は現在ではほとんどいないようです。なぜなら、女性が強くなり、男性と対等になってしまったからです。
レディーファーストなどは、あくまで女性が社会的に弱かったから普通におこなわれていたものであり、現代のたくましい女性たちはもはや守られるべき存在ではなくなったのかもしれません。女性のほうも、対等に扱ってほしいと思う人もいるでしょう。
しかし、所変われば事情も変わり、イスラム圏では「ヒゲ」が男らしさの特徴と考えられていますし、フィリピンにいたっては「男たるもの仕事をせず、妻に養ってもらってなんぼ」という価値観があります。東南アジアの男性は怠け者とよくいわれますが、それが男の甲斐性と考えられているのです。
現代において、もっとも男性がリーダーシップを発揮している国の1つが韓国です。徴兵制があることも関係していますが、国を守るという価値観が強く根付いています。
日本の男らしさ
日本ではその昔、「武士道」がありました。名誉を重んじ、そのためなら命を捨てることも厭わない精神です。切腹などは、その代表でしょう。
明治に入ると、自分のことより国の事を第一に考えるのが男らしさとなり、また「男たるもの多くを語らない」「不言実行」という美学が普及しました。俳優の高倉健さんが今なお一部の男性たちに人気なのは、この美学を体現しているからかもしれません。とにかく感情的な男はダメとされていました。
第二次世界大戦後は、汗をかいて働き、家族を養うことが男らしさとなりました。高度経済成長期には、豊かなのは良いことだ、と考えられていたからです。勤勉で実直、真面目に働く男性が尊ばれました。女性が働き手となるようなことは考えられず、そんな夫は「ヒモ」と蔑まれたものです。
そして現在。もはや画一的な男らしさは存在しません。1人ひとりによって価値観は異なり、主夫やイクメンだって立派な男の生き方ですし、相変わらず経済力重視とする人たちもいます。男らしさは完全に個人の問題となったようです。
こんな時代において、男性が性的に元気でいることも決して簡単ではなくなりました。やせ我慢であっても、男らしさを強制されていた時代のほうが、おそらく性的にも男性は上位に立てたはずです。
1人ひとりが自分の男らしさを定め、それを支持してくれる女性をパートナーにすることが1番確実かもしれません。